バッティングやピッチングで
子どもの頭や上半身が前へ流れる。
このような動きを見ると
「頭を残して」
「身体を開かないで」
「前に突っ込まないで」
と伝えたくなります。
しかし、上半身だけを
元の位置へ戻そうとしても
動きが変わらないことがあります。
身体の姿勢や動きは
足で地面を押したときに
返ってくる力の影響を受けます。
足元で身体を支えられなければ
その上にある
骨盤や体幹も安定しにくくなります。
つまり、上半身が
前へ流れて見えるときも
原因が上半身にあるとは限りません。
まず見たいのは
身体の形ではなく
足元でどのように
地面と力をやり取りしているかです。
「重心」と「足裏の圧」は同じではない🙅♂️

重心とは、身体全体の質量が
集まっていると考える仮想的な位置です。
一方、足圧中心とは
地面から受ける力が足裏の
どこに集まっているかを表す位置です。
この二つは関係していますが
同じものではありません。
身体がほとんど動かない立位では
足圧中心の動きを使って
姿勢制御を評価する研究があります。
しかし、打撃のように
身体を大きく動かす場面では
足圧中心の位置だけを見て
身体の重心位置を
そのまま判断することはできません。
そのため
「つま先側に圧があるから、重心も必ず前にある」
「前足に体重が乗ったから、突っ込んでいる」
と単純に決めることはできません。
大切なのは
一つの瞬間だけではなく
動作の中で足裏の圧と身体全体が
どのように変化しているかを見ることです。
重心移動は「前へ乗ること」ではない🙅♂️

野球では「体重移動」
という言葉がよく使われます。
しかし、体重移動は
軸足から前足へ
体重を移せば終わりではありません。
バッティングでは
ステップによって身体が前へ移動しながら
その後は前足が地面から力を受け
骨盤や体幹の回転につながっていきます。
大学野球選手を対象とした研究でも
バッティング中の下肢運動は
地面反力によるモーメントと
身体の回転に
関係することが報告されています。
つまり、前へ移動すること
自体が問題なのではありません。
前へ進んだ身体を足元で受け止め
次の回転へつなげられるかどうかが重要です。
前足へ移ったあとも
身体全体がそのまま前へ流れ続ければ
頭や上半身が突っ込んだように見えます。
反対に、前足で
地面から力を受けられれば
身体は前へ移動しながらも
回転へ切り替えやすくなります。
上半身を残すだけでは解決しない🙌

「頭を残す」という言葉を
頭を後ろへ置いたまま
動かさないことだと受け取る子どももいます。
すると、下半身は
前へ移動しているのに
上半身だけを後ろへ残そうとして
身体が反ったり
腰の動きが止まったりすることがあります。
見た目は頭が残っていても
身体全体の動きが
つながっているとは限りません。
姿勢制御では、身体の重心と
両足によってつくられる
支持範囲との関係が重要です。
重心の動きを
支持範囲の中で制御できなくなると
身体は足を踏み出すなど
別の方法で姿勢を立て直そうとします。
野球の動作は静止した
バランス運動ではありませんが
足元で身体を支えながら
重心の動きを
制御する必要がある点は共通しています。
上半身だけを残そうとするのではなく
足元から身体全体の動きを見る必要があります。
同じ「突っ込み」でも原因は一つではない🙌

一見すると同じように
身体が前へ流れていても
実際に起きていることは
子どもによって異なります。
例えば
- 軸足で地面を押す前に、上半身から動いている
- ステップした足で身体を受け止められていない
- 足を着いたあとも重心が前へ移動し続けている
- 骨盤が回転せず、身体全体が前へ進んでいる
- 頭を残そうとして上半身を反らしている
など、複数の可能性があります。
外から見える
「頭が前へ出た」という現象だけでは
その原因までは判断できません。
また、野球の下肢や
地面反力に関する研究の
多くは成人選手を対象としています。
子どもの動きへそのまま
当てはめられるとは限らないため
年齢や身体の発達
動作の習熟度も含めて見る必要があります。
見るべきなのは、頭の位置ではなく動きの流れ💪

身体が前へ移動することは
必ずしも悪い動きではありません。
投球でも打撃でも
前方向への移動は動作の一部です。
問題は、前への
移動が止まらないことや
その移動を
回転へつなげられないことです。
頭や肩の位置だけを切り取ると
「前へ出たからダメ」
「後ろに残れば正解」
という見方になりやすくなります。
しかし、身体の使い方を
見るときに大切なのは
・軸足で地面へ力を加える
・身体が前へ移動する
・前足が身体を受け止める
・骨盤や体幹の回転へつながる
この流れです。
「突っ込んでいる」
という言葉だけで終わらせず
足元から身体全体に
力がどう伝わっているかを見る。
それによって
上半身の形を直すだけでは見えなかった
本当の課題が見つかりやすくなります。

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