「軸を動かすな」
「頭を残して打て」
「身体がブレないようにしよう」
野球では
このような言葉をよく耳にします。
もちろん、身体が
大きく崩れないことは大切です。
しかし、子どもが
「身体を動かしてはいけない」
と受け取ってしまうと、かえって
動作が小さくなることがあります。
投げるときも、打つときも、走るときも
身体の位置は変わります。
野球で必要なのは
その場で固まることではありません。
動きながら姿勢を調整し
次の動作につなげられることです。
「軸」は身体の中にある一本の棒ではない🙅♂️

指導で使われる「軸」という言葉には
明確に一つだけの意味があるわけではありません。
・頭を動かさないこと
・身体を傾けないこと
・回転の中心を保つこと
・体重が外へ逃げないこと
指導者によって
指している内容が異なる場合があります。
そのため、「軸を動かすな」
という言葉だけでは
子どもが何を直せばよいのか
分からないことがあります。
そして子どもは
言葉をそのまま受け取りやすいものです。
「動いたらダメ」と考え
頭や胴体を固めてしまうこともあります。
大切なのは、身体を
まったく動かさないことではありません。
必要な動きをしながら
倒れたり、流されたりせずに
力を出せる状態を作ることです。
止まって立てることと、動きの中で保てることは違う🙅♂️

片足立ちで長く止まれる。
これは一つのバランス能力です。
一方、野球では止まった状態だけで
プレーすることはほとんどありません。
・一歩踏み出す
・片足から反対の足へ体重を移す
・身体を回す
・投げたあとに次の動作へ移る
このように、身体の位置や足の支え方が
変わる中で姿勢を調整します。
片足立ちが得意だから、打撃や投球でも
身体をうまく使えるとは限りません。
反対に
片足立ちでは少し揺れる子でも
動きの中では上手に足を着き
身体を立て直せることがあります。
野球では身体の位置が変わり続ける‼️

右投げの投手であれば
左足を上げたあと
軸足である右足で地面を支えます。
そこから左足を踏み出し
体重を前へ移しながら身体を回して投げます。
打撃でも、構えた位置から体重を移し
足を着き、骨盤や上半身を
回してバットを振ります。
つまり、投球や打撃では身体が動くこと自体が問題なのではありません。
問題になるのは
動いたあとに姿勢を調整できず
次の動作へつながらなくなることです。
「動いたか」より「動いたあと」を見る👀

子どもの動きを見るときは
頭や身体が少し動いただけで
「軸がブレた」と判断しないことが大切です。
次のような点を見てみます。
- 足を着いたときに大きくよろけていないか
- 投げ終わったあとに立て直せているか
- 打ったあとに次の一歩を出せるか
- 力んで身体を固めていないか
- 動作の途中で急にスピードが止まっていないか
身体の位置が変わっていても
動作が滑らかにつながっていれば
バランスを保ちながら
動けている可能性があります。
反対に
見た目はほとんど動いていなくても
身体を固めて力を出せていないのであれば
野球に必要なバランスとは言いにくいでしょう。
動きながら整える経験を増やす💪

動的なバランスは
特別な道具がなくても経験できます。
例えば
- 一歩前へ踏み出して止まる
- 横へ一歩動いてからボールを捕る
- 軽く跳んで着地し、すぐに投げる姿勢を作る
- 合図に合わせて前後左右へ動く
- ボールを捕ったあと、別の方向へ投げる動作につなげる
ポイントは
きれいな姿勢で固まることではありません。
動いたあとに自分で足の位置を調整し
次の動作へつなげることです。
最初から速く動かす必要もありません。
ゆっくり動きながら
「どこに足を着けば安定するか」
「身体が傾いたら、どう戻せばよいか」
を子ども自身が感じる時間を作ります。
ただし、これらの運動だけで
球速や打球速度が直接
上がると断言することはできません。
目的は、さまざまな方向へ動きながら
姿勢を調整する経験を増やすことです。
声かけは「動くな」より具体的にする☝️

「軸を動かすな」だけでは
子どもが身体全体を固めてしまうことがあります。
その場合は
「踏んだあとに立てるかな」
「投げ終わったあと、前を向けるかな」
「打ったら一塁へ一歩出てみよう」
「足を着いたあとも動きを止めないでみよう」
と、動作の目的を具体的に伝えます。
「軸を動かすな」という指導が
すべて間違っているわけではありません。
ただし、何を
保ってほしいのかが伝わらなければ
子どもは必要な動きまで止めてしまいます。
野球で必要なのは、
一本の棒のように固まることではありません。
・動く
・受け止める
・立て直す
・次の動作へつなげる
この繰り返しが、投げる、打つ、走る
ための身体の土台になります。

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