投球動作を指導するとき
「腰を回せ」
「身体をひねれ」
「もっと胸を張れ」
このように
回旋を中心に伝えることが多くあります。
もちろん、投球に回旋は必要です。
しかし、身体を
真っすぐ立てたまま横へ回るだけでは
投球に必要な
立体的な動きにはなりません。
投球動作では
骨盤や体幹の回旋に加えて
身体を横へ傾ける
「側屈」が組み合わさります。
この側屈×回旋が
前回の記事で解説した
「∞のエネルギーの流れ」を作る土台です。
小学生の時期に必要なのは
球速を無理に上げることではありません。
中学・高校で
身体が大きくなったとき
その力をボールへつなげられる
身体の使い方を身につけておくことです。
回旋だけでは投球動作にならない🙅♂️

回旋とは
身体を左右へひねる動きです。
その場で胸を右へ向け
次に左へ向ければ
体幹は回旋しています。
しかし、実際の投球では
身体が地面に対して垂直のまま
回り続けるわけではありません。
✅軸足側で力を受けるとき
✅踏み出し脚へ体重を移すとき
✅腕が上がり、ボールを前へ運ぶとき
✅リリース後に腕が反対側へ抜けるとき
それぞれの場面で
身体は回りながら左右へ傾いています。
投球動作に関する研究でも
骨盤と体幹の回転だけでなく
体幹の前傾や側方への傾きが
投球速度や上肢に加わる力と
関係することが報告されています。
ただし、これは「大きく傾けば傾くほど良い」
という意味ではありません。
身体を意図的に
大きく倒すのではなく
体重移動と回旋の結果として
必要な側屈が現れることが重要です。
側屈が入ると左右の動きがつながる∞

右投げの場合
投球動作の前半では
身体が軸足側へまとまります。
そこから踏み出し
脚側へ移動すると
骨盤が投球方向へ動き始め
胸郭や肩が少し遅れてついてきます。
このとき、身体は
回旋するだけではありません。
片側が縮み
反対側が伸びる動きが起こります。
そして、投球方向へ進む中で
その関係が左右で切り替わります。
・右側で受ける
↓
・身体の中心を通る
↓
・左側へ渡す
↓
・投球腕が前へ出る
↓
・反対側へ抜ける
側屈と回旋が連動することで
この左右の切り替えが滑らかになります。
正面から見ると、身体の中心を
またぎながら左右にループするため
「∞」のような流れになります。
Weck Methodでは
側屈と回旋を組み合わせた動きを
「Coiling Core」という考え方で説明しています。
ただし、「∞」は身体の中に
実在する線ではありません。
左右の体重移動、側屈、回旋の
つながりを理解するためのイメージです。
側屈を使うことと身体を倒すことは違う🙅♂️

側屈と聞くと、身体を大きく
横へ倒す動きを想像するかもしれません。
しかし、投球中に
上半身だけを無理に倒しても
下半身とのつながりは生まれません。
足元が崩れた状態で身体を傾ければ
バランスを取るために
腕や肩へ余計な力が入りやすくなります。
必要なのは
上半身を意図的に倒すことではなく
- 足裏で地面を受ける
- 支えている脚の上で体幹が動く
- 骨盤と胸郭が連動する
- 片側の縮みと反対側の伸びが切り替わる
- 最後まで流れを止めない
という全身のつながりです。
側屈だけを切り取るのではなく
体重移動と回旋の中に
側屈が含まれているかを見ます。
小学生の今、身につけたいのは「傾く力」ではなく「戻れる力」💪

小学生に必要なのは
側屈の角度を
大きくすることではありません。
重要なのは
- 片脚で身体を支えられる
- 支えた脚の上で体幹を動かせる
- 左右へ傾いてもバランスを崩さない
- 傾いた状態から反対側へ切り替えられる
- 腕だけで動きを作らない
このような基本動作です。
身体を傾けられても
足元が崩れて反対側へ切り替えられなければ
力は次の動きへつながりません。
側屈の大きさよりも
足元から体幹までをつなげたまま
左右を切り替えられることが先です。
これが、中学・高校で
身体が大きくなったとき
強い回旋を受け止める土台になります。
小学生の今、まだ求めなくていいこと🙌

小学生の段階で、完成された
投球フォームを作る必要はありません。
プロ野球選手と
同じ角度や形に合わせる必要もありません。
今の段階で求めすぎなくていいのは
- リリース時の体幹角度を細かく合わせる
- 肘や腕の位置を一つの形に固定する
- 大きな側屈を意図的に作る
- 球速だけを基準にフォームを変える
- 身体が対応できない強度で投げ込む
といった部分です。
研究で確認されているのは
体幹の動きと
球速や関節への負荷に関連があることです。
特定の角度をすべての
子どもに当てはめれば球速が上がる
ということではありません。
今は完成形を作るよりも
✅左右へ動く
✅回る
✅傾く
✅支える
✅切り替える
といった動作の
選択肢を増やすことが大切です。
腕の形より、身体の左右が切り替わっているかを見る👀

投球フォームを見るとき
肘の高さや
腕の位置に目が向きやすくなります。
しかし、腕の形だけを直しても
その前にある身体の流れが変わらなければ
根本的な改善にはつながりません。
確認したいのは
✅軸足側で力を受けられているか
✅踏み出し脚側へ移る途中で流れが止まっていないか
✅骨盤だけが先に開いていないか
✅上半身だけを無理に倒していないか
✅リリース後まで反対側へ動きが抜けているか
という部分です。
側屈×回旋は、一つの形ではありません。
投球動作の最初から最後まで
身体の左右をつなぐ動きです。
今の球速より、将来力を伝えられる身体を作る💪

小学生の時点で球が速いことと
中学・高校でも
伸び続けることは同じではありません。
身体が大きくなり、筋力が上がっても
その力をボールまでつなげられなければ
腕への依存が強くなります。
だからこそ、小学生の今は
⚾️強く回ることより
左右へ動けること。
⚾️大きく傾くことより
傾いても支えられること。
⚾️形を固めることより
側屈と回旋をつなげること。
ここを優先します。
回旋だけでは
投球動作は平面的になります。
側屈が加わることで身体は立体的に動き
左右の動きが一つの流れになります。
今すぐ球速を
上げるためだけの技術ではありません。
中学・高校で身体が成長したとき
その力を無駄なく
ボールへつなげるための土台です。

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